腰痛は国民病

「腰が痛い」そんな悩みを持つ人は多いでしょう。腰痛は肩こりと並んで悩んでいる人が多い症状です。病気やけがなど自覚症状のある人を調べた『平成25年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)』によると、男性は腰痛を訴える人が全症状中最も多く女性では肩こりに次いで第2位になりました。腰痛は年齢、性別を問わず大きな健康課題になっています。

腰痛とは

 日本の成人の90%が、経験をしています。実は、腰痛は、病気の名前ではなく腰からくる痛みや張りなどの不快に感じる症状の総称です。このうち画像診断や血液検査などで痛みの原因が特定できるものと原因が特定できない腰痛があります。

人は腰痛が宿命です。

 直立二足歩行をする人間は、身体を垂直に保ち重い上半身を下半身で支える必要があります。どうしても腰に大きな負担が掛かってしまいます。腰痛は、直立二足歩行を行う人間の宿命のようなものです。だからと言ってすべての人が腰痛に苦しんでいるのかといえば決してそうではありません。腰痛になりやすいかどうかは、生活環境や生活習慣、ストレスなどが大きく関与しています

腰痛のうち原因が特定できるのは約15%です

 画像検査による診断や診察で原因が特定できる腰痛の場合は、様々ですが15%程度と言われています。残りの約85%は検査をしても痛みの原因となる異常が見つからない腰痛です。ぎっくり腰も原因の特定が難しく画像検査による診断や診察で原因が特定できません。

原因が特定できる腰痛の種類

  • 腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
  • 骨粗しょう症
  • 脊椎分離症・脊椎すべり症
  • 筋筋膜性腰痛

腰椎椎間板ヘルニア

 背骨と背骨の間にある椎間板が潰されて内部にあるゼラチン状の髄核が後方に押し出され神経を圧迫するために痛みが送る病気です。高齢者よりも20代から40代の働き盛りの男性に多く見られます。

腰部脊柱管狭窄症

 脊椎は椎骨と呼ばれる骨が連結してできています。加齢などに伴って椎骨にある脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなると中を通っている神経が圧迫されて腰痛やお尻や足のしびれなどが起こります。一般に40歳以上の人に多い症状です。

骨粗しょう症

 加齢によりカルシウムが流出して骨密度が減り骨折しやすくなる病気です。腰椎が圧迫骨折を起こすと腰や背中が痛くなります。骨粗しょう症は、中年以降の女性に多いのが特徴です。原因の1つとして骨がカルシウムを吸着するときに必要なエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が閉経とともに急激に減少することです。

脊椎分離症・脊椎すべり症

 脊椎の関節にある骨が切れて分離した状態です。一方脊椎すべり症とは、脊椎の一部が前後にずれている状態を言います。

激しい運動後の腰痛(筋筋膜性腰痛)

 急激に重い物を持ったり無理な姿勢によって繰り返し筋肉に負担を掛けたりする時になる腰痛です。筋膜とは、筋肉など様々な臓器を包んでいる膜のことですが、運動によってこれが傷ついてしまうことがあります。数日で回復しますが、負荷が掛かる状況が続いたり寒さで血行が悪くなったりすると回復が追い付かず強い痛みやしびれを生じるまで悪化してしまう可能性があります。腰以外でも発症することもありますが、腰で発症すると腰痛の原因となります。

腰痛の約85%は原因不明

 腰痛の約85%は、神経症状(しびれや麻痺など)や重い基礎疾患などがなくX線やMRIなどの画像検査をしてもどこが痛みの原因なのか特定しきれない腰痛です。

原因不明な腰痛は、生活習慣などが要因

 長時間中腰猫背などの姿勢を続け腰や背中の筋肉が緊張し続けた時や運動不足で腰を支える筋力が弱っている時などに起こります。寒さで筋肉が硬直する冬も神経が刺激されて痛みが起こりやすくなります。普段からセルフケアをしていれば短期間で軽くなりますが休養が十分取れなかったりストレスなどの心理的要因があると長期化することもあります。

ぎっくり腰

 急性の腰痛であるぎっくり腰も原因が不明な腰痛になります。急に無理な動作をした時などに起こる腰の組織のけがで捻挫や椎間板、腱、靭帯などの損傷が多いと考えられていますが、どの部分が痛んでいるのかを断定するのは難しいです。

筋疲労を招く労働環境

 職場環境によって腰痛を発症する人は非常に多く労働災害全体の約6割以上を占めています。身体に負荷のかかる重労働、特に重たいものを持ち上げる作業や体幹を曲げたりひねったりする作業には気を付ける必要があります。介護や看護婦の職場で多いとされています。
 同じ姿勢を取り続けるような職場でも多く、PC作業をしている人長距離輸送のドライバーにも腰痛は多く発生します。

メンタルヘルスによる腰痛

 職場でのメンタルヘルスとの関連も腰痛の原因と指摘されています。仕事に対する満足度や人間関係なども腰痛の発症や長期化と関連があるためストレスを溜めない環境つくりも大切です。生活習慣の中でも特に運動不足と喫煙は、腰痛の関連していることが知られています。

女性特有の腰痛

 妊娠や生理など女性特有の原因で起こる腰痛もあります。生理痛が強いと下腹部痛だけでなく腰痛を伴うことがあります。妊娠中は、大きくなったお腹を支えるために身体の重心が変わり状態を反らせる姿勢になることが多いため腰痛が起こりやすくなります。子宮が大きくなり骨盤の周りの筋肉が引っ張られることも腰痛の原因になることがあります。産後も授乳や夜泣きの対応などの育児、家事に追われると身体的・精神的な負担から腰痛が慢性化することもあります。更年期になると体内のホルモンバランスが変わり腰痛が起こりやすくなることがあります。

日常生活でできる予防法

  • 姿勢に気を付ける
  • 腹筋と背筋を鍛える
  • 靴の選び方やバッグの持ち方に注意する
  • 重い物を力任せに持ち上げない

姿勢に気を付ける

 同じ姿勢で長く立ち仕事する調理台やアイロン台などは、前かがみにならないよう補助台を置くなどして自分に合った高さに調整する工夫をしましょう。椅子は、深く座り背骨を伸ばし膝足首が90度になるように高さを調節するなど姿勢に気を配りましょう。

腹筋と背筋を鍛える

 日頃から腹筋と背筋を鍛える運動を心がけましょう。仰向けに寝た状態で腰の下にたたんだタオルを当て自転車をこぐように空中で足を回す動作は腹筋と背筋を同時に鍛えることができます。腰痛がある時は決して無理をしないことが大切です。

靴の選び方やバッグの持ち方に注意する

 ヒールの高い靴屋厚底靴を避け踵が低く安定性のある靴を選びましょう。荷物は片側にだけ負担がかからないリュックサックがおすすめですが、バックを片手で持つときは、こまめに左右持ち替えるようにします。

重い物を力任せに持ち上げない

 何かを持ち上げるときは、中腰で力を入れたり腕の力だけで持ち上げずにしゃがみ込むように腰を落としてゆっくり持ち上げるように心がけましょう。

腰痛の対処法

  •  冷やして炎症を抑える
  •  腰を温めて血行を良くする
  •  市販の薬を使う
  •  病院で診察を受ける

冷やして炎症を抑える

 腰に急激な痛みを感じた直後や痛みのある部分が熱を持っていると感じるときは冷やします。冷却パックやエアゾール剤、冷やすタイプの湿布剤を利用すると良いでしょう。

腰を温めて血行を良くする

 腰痛の炎症直後は炎症を鎮めるために冷やしますが、炎症が軽減したら血行を良くして回復を促すためにホットパックや使い捨てカイロなどで腰を温めましょう。ぬるめのお湯にゆっくりとつかりしっかり温めるのも効果的です。慢性的な腰痛を解消したときも温めて血行を良くすると効果があります。

市販の薬を使う

 炎症と痛みを抑えるには鎮痛炎症成分の配合した外用鎮痛炎症薬が効果的です。ビタミンB1、B6、B12が配合されたビタミン剤は、身体の中からコリを緩和する効果があります。

病院で診察を受ける

 患部が真っ赤に腫れて熱を持ち痛みが続くときや足のしびれが続くときには整形外科などで早めに診察を受けましょう。長引く腰痛は内科、婦人科、泌尿器科などの疾患が隠れている可能性があります。病院で診察を受けましょう。

腰痛 (福島ドクターズTV)

参考HP

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