マタニティブルーとは

 わけもなく落ち込んで憂鬱になったり、普段なら気にならないようなことで傷ついたりします。産前産後にそうした精神状態になります。感情の起伏が大きくなるのが特徴です。妊娠してから感情が今までと違うと感じる場合は、マタニティブルーになっているかもしれません。

マタニティブルーは誰でも経験します

 精神的不調とは無縁だと思っている人もいるかも知れませんが、マタニティブルーは誰がなってもおかしくないもの。程度の差はあれども多くの人が経験しています。思い当たる節のある人もそうでない人も、マタニティブルーを正しく知っておきましょう。

マタニティブルーの症状

マタニティブルーによく見られる代表的な症状としては、

  • 特に理由もなく気分が落ち込む、滅入る
  • 漠然とした不安感に見舞われる
  • 急に涙が出たり泣き出したりしてしまう
  • ささいなことでイライラしたり怒ったりしてしまう
  • 倦怠感があり、すぐに疲れてしまう
  • なかなか寝付けなくなり、眠りも浅くなる
  • 出産や育児に対する自信がまったく持てず不安でたまらない
  • 食欲が出ない
  • 外出がおっくうでお洒落をすることに関心がもてない
  • 夫に対してイライラしたり怒りを感じる。
  • 一つのことに集中できず飽きっぽくなる

などがあります。人によって差異があるため当てはまる症状や状態はそれぞれですが、こうした症状が複数表れることが大半です。

マタニティブルーかな?

上記にあてはまるものが0個の方はマタニティブルーではないと言えます。
1個~3個にあてはまった方は、マタニティブルーの可能性はまだ低いでしょう。
3個以上当てはまった方は、程度の差はあれ、マタニティブルーの症状が出る可能性があります。
8個以上当てはまった方は身も心も疲れ切って辛い思いをしているでしょう。

マタニティブルーとうつとの違い

 マタニティブルーとうつとの違いは、症状が一時的であるかどうかという点です。通常マタニティブルーは一時的なものとされ、3週間以内には治まると言われています。しかしそれ以上続くようであればうつと診断され、産前であれば産前うつ、産後であれば産後うつという名前がつきます。

産前・産後うつ

 マタニティブルーが重かったり、以前に心の病気を経験していたりするとそのままうつへ移行してしまうこともあるため、「きっと一時的のものだろう」と軽く見ずに注意することが必要です。

産前のマタニティブルー(ホルモンの影響)

 産前、妊娠中のマタニティブルーは妊娠初期と出産を控えた妊娠後期に特に生じやすいです。妊娠初期では、妊娠が分かった時、つわりが始まった時に胎盤が形成されるホルモンの変化によってマタニティブルーになりやすいです。

産前のマタニティブルー(夫の影響)

 妊娠が予定外だった。夫が思ったほど妊娠を喜んでくれない。夫が体調不良を心配してくれないという状況では、心理的な不安も加わってマタニティブルーになりやすいです。

産後のマタニティブルー(ホルモンの影響)

 出産を機に妊娠中に増えていた女性ホルモンと副腎皮質ホルモンが急に減少する変化がマタニティブルーの原因の1つである可能性があります。出産前に月経前症候群(PMS)の症状が出やすかった人は、マタニティブルーにもなりやすいと考えられています。

産後のマタニティブルー(状況の変化)

 出産によって母親になったという実感が沸き育児や母親になることの責任とプレッシャーが生じることがマタニティブルーの原因と言われています。

産後のマタニティブルー(家族関係)

 若年で出産した人や家族関係が密接でない人、精神的な疾患を持っている人は、ストレス耐性の点で症状が出やすいと言われています。

マタニティブルーの原因

  • ホルモンバランスの変化
  • ホルモンバランス以外の要素
    • 体調不良・睡眠不足
    • 出産への不安・孤独
    • 育児疲れ

上記の2つがおもな原因です。

ホルモンバランスの変化

 一番多い原因はホルモンバランスの急激な変化です。妊娠前の女性の体は通常一定の周期で月経と排卵を繰り返しています。分泌される女性ホルモンのバランスによりそのリズムを保っています。妊娠することで多量の女性ホルモンが胎盤で作られ、さらに出産時に胎盤が排出されます。妊娠から出産を経て月経が再開するまでのあいだ、絶えずホルモンバランスは大きく変化し続けます。ホルモンバランスの急激な変化は、体調だけでなく心にも大きな影響を及ぼします。

ホルモンバランス以外の要素(体調不良)

 妊娠・出産によるママの体調変化は、体調不良を引き起こすことが少なくありません。つわりが始めまる妊娠初期と赤ちゃんが大きくなって内臓が圧迫される妊娠後期は、体調の辛さや胃の不快感、腰痛や浮腫みやすさなどの体調不良を生じやすくなります。
 産後は出産後に体力が回復せずに病気になりやすく産後の肥立ちが悪いなどと言われるように体調を崩しやすい時期です。

ホルモンバランス以外の要素(睡眠不足)

 妊娠中は慣れない体調の変化とお腹の重さ、出産後は定期的な授乳や育児のために慢性的な睡眠不足もマタニティブルーの原因と考えられます。

ホルモンバランス以外の要素(出産への不安・孤独)

 妊娠中は、赤ちゃんが無事に育っているのか、出産は大丈夫かといった不安が募り、周りの何気ない言葉にイライラして傷つくこともあります。
 妊娠中や出産後の不安を夫と共有できなかったり思うように外出できないといった状況から孤独感を持つ人もいます。
 出産前に働いていた人は、産前休暇に入ることで社会ら疎外された孤独感を感じ焦りがちです。このような不安感や孤独感もマタニティブルーの原因と考えられます。

ホルモンバランス以外の要素(育児の疲れ)

 出産後のままは昼夜問わない授乳などの赤ちゃんの世話だけでなく家事も行わなければならないなど体力的に厳しい状況になりがちです。
 自分の子育ての方法が正しいのかといる不安感や周りのアドバイスがプレッシャーになってしまうこともあります。 
 一人目の出産の時だけでなく二人目、三人目の出産でも同じですし子育て疲れは赤ちゃんが増えると倍増するとも言えます。

マタニティブルーになりやすいタイプ

 ホルモンバランスの変化が大きな原因ですが、それに対する感受性は個人差があります。そのため妊娠前にPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の症状に悩んでいたタイプの人は、マタニティブルーになりやすいです。
 また、責任感が強い、真面目、1人で抱え込んでしまいやすいなどの性格の人もなりやすいと言われています。いいかげんぐらいが丁度良いです。

マタニティブルーはいつからいつまでなりやすい?

 産前は妊娠初期から妊娠中期までのあいだになる人が多いようです。つわりなど妊娠によるホルモンバランスの変化が著しい時期に、生活スタイルへの影響や出産への不安などのストレスが重なることが要因と考えられます。
 産後は出産直後の数日間がマタニティブルーにとてもなりやすい期間だと言われています。胎盤が排出されることでそこで作られていた女性ホルモンの供給がストップしてしまいどうしても大きな影響を受けてしまいます。育児により生活パターンががらりと変わるためです。

マタニティブルーはいつなってもおかしくない

 マタニティブルーに特になりやすい時期というのはありますが、それ以外の期間にマタニティブルーになることも十分に考えられます。妊娠から産後月経が再開するまでのあいだは特殊なホルモンバランスの状態になるため、いつマタニティブルーなってもおかしくないと思っておいたほうが良いでしょう。

マタニティブルーの予防・対処法

 マタニティブルーは病気でなく心の不調です。ホルモンバランスの変動を防ぐことはできませんが、気分があまりにも落ち込まないように予防や対処をすることはできます。

  • ホルモンバランスが原因であることを理解する
  • 気分転換に軽い運動をする
  • 話し相手を見つける
  • つらい気持ちをはきだしましょう
  • 家事をさぼる
  • 保険師や家庭支援センターに相談する

ホルモンバランスが原因であることを理解する

 なぜそうした症状が出るのか知らないままいざマタニティブルーになってしまった時、自分の心の変化に戸惑ったり驚いたりしてさらなるネガティブ思考になりましたらホルモンバランスから来るものであることを理解しておくことで、自分の性格や考えに問題があるのではなく、体の仕組みのひとつとして仕方がないことだと割り切ることができます。

軽い運動をする

 体調が悪い育児に追われている時期でなければ、軽く体を動かすのも効果的です。近所を散歩したり、ストレッチやヨガなどをすきま時間にしたりするのがおすすめです。少し体を動かすだけでだいぶスッキリします。

ヨガやスイミングは特におススメ

 ヨガは無理なくできる動きであるとともに、精神面への効果が大きいとされているため特におすすめです。また、マタニティスイミングも自らα波が出やすく落ち着くと言われています。

話し相手を作っておく

 パートナーや家族だけでなく、友人やママ友などとにかく気軽に近況を話せる人を作っておくと心強い存在になります。そのときの気持ちや愚痴を誰かに聞いてもらうだけでかなり気分が晴れますよ。知っている人にそうした話をすることに抵抗があるようなら、SNSや情報交換サイトで同じような悩みを持った人とやり取りするのも良いでしょう。ネット空間での相談はあまりのめり込まないよう適切な距離を持って付き合うようにしましょう。

つらい気持ちをはきだしましょう

 マタニティブルーだから、とひたすら我慢をせず、ガス抜きをするような気持ちで発散しましょう。泣きたくなったら泣いてみる、紙につらい気持ちを書き出してみるなど、抱えている感情をなにかしらの形で表してみると落ち着きます。身近なパートナーだけでなく、兄弟や子育ての先輩などに相談するのも良いでしょう。

家事をさぼる

 つわりや育児で家事に手が回らないときは無理にこなそうとせず、サボることも大切です。パートナーに任せるのも良いですし、そうでなくても散らかった部屋を片付けるのを諦めてみる、食事は冷食を活用したりなにか買ってきてもらったり、とにかく手を抜いてみることです。それに対して罪悪感を覚える必要はなく、マタニティブルーへの対処法であると考えましょう。

保険師や家庭支援センターに相談する

 身内や友人よりも相談しやすいと感じる人も少なくありませんし、なにより専門家なので遠慮せず相談してみましょう。妊婦健診の際にも助産師さんに話をする機会があるので、気軽に話をしてみましょう。

パートナー・家族の理解が大切

 予防や対処としてはいずれにせよ溜め込まず、気分転換を図る、人に話す、休息を取るなどの行動が有効ですが、自分自身で対策するだけではなくパートナーや家族の理解が大切です。

核家族化

 核家族化が進み親の援助を得られない方が多くなりました。育児雑誌に書いてあるような事以外のことが次々と出産前後にはあり育児をママ一人でかかえてしまいます。パートナーや家族が出産をサポートし、育児をともに行う意思を示して行動し、孤独感を取り除いて気持ちを分かち合うことがまず重要になってきます。

周囲の理解が必要

 マタニティブルーは、決して甘えではないこと、頑張りでどうにかなるものではないことを本人だけでなく周囲もきちんと理解することがマタニティブルーを乗り越えるひとつの鍵になります。

マタニティブルーを軽く見ないで

 マタニティブルーは誰もがかかりやすく、決して軽視できないものです。長引くことのないよう無理をせずケアをしましょう。最近では父親がかかるパタニティブルーも注目されています。

パートナーとの協力

 マタニティブルーパタニティブルーのいずれもパートナー同士での理解と助け合いが重要です。出産や育児を協力し合って乗り越えるのと同じように、ブルーな時期を乗り越えましょう。

相談しましょう(医師)

 最近の社会はストレスが多く、妊娠前にメンタルクリニックに通院既往がある人も少なくありません。パニック障害やうつ病などの既往がある人は要注意ですが、自分で判断しないようにしましょう。

相談しましょう(自治体)

 自治体でも母子手帳発行時に「ゆりかご事業」という専門職と面談する機会もありますし、産後の「赤ちゃん訪問事業」の時にもママのメンタルヘルスをチェックする指標などを取り入れています。

相談しましょう(鍼灸)

 ホルモンバランスは、自律神経の乱れでもあります。鍼灸治療は、ホルモンバランスを整えることに大きな効果があります。眠れない・イライラする・不安・すぐに疲れる・食欲がないなどマタニティブルーのような心の不調に鍼灸治療をお薦めします。

最後に

 ママだけで抱え込まないで相談する気持ちを常に持っていてください。SOSを出す事は決して恥ずかしい事ではありません。

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参考HP

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