誰でもパニックに陥ることはあります。健康な人が思い当たる理由もなく、ある日突然にパニックに陥り、動悸、その他の症状はあるのに、検査をしても異常は見つからない。初めてこの発作を経験した人は、「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖感を抱くと言われる病気が「パニック障害」です。

パニック障害とは

 パニック障害は、突然、何のきっかけもなく動悸、呼吸困難、吐き気などのパニック発作が起こり何度も繰り返される病気で、100人に1人の頻度で多い病気です。パニック障害は、早期に適切な治療をすれば病気から回復し、以前のような日常生活を取り戻せます。

パニック障害の症状は?

 パニック障害には「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つの症状があります。

パニック発作

 例えば満員電車で突然に心臓の音が隣の乗客の人にも聞こえるのではないかと思うほど胸苦しさ息苦しさを感じてホームに降りて休んでいると症状が治まる人や症状が治まらず救急車で病院に運ばれていく人もいます。

予期不安

 例えば満員電車内でパニック発作を繰り返ししているうちに「またあの不安が襲ってくるかもしれない」という漫然とした不安が常に付きまとうようになることです。パニック発作が改善されても予期不安が残ることもあります。

広場恐怖

 例えば満員電車内で繰り返しパニック発作を起こすと満員電車に乗れなくなります。満員電車内のように狭い場所に閉じ込められる状況を避けるようになり一人で外出できなくなったりするので日常生活・社会生活に支障が生じます

パニック障害を放置するとどうなるのでしょうか?

 突然のパニック発作によりまず病院で検査を受けますが多くの場合は異常なしと言われます。しかしその後もパニック発作が繰り返し起こり、そのたびに検査を受けても異常は認められず、本人は発作に抵抗できないという無力感を抱くようになります。その結果予期不安の増強と広場恐怖に出現に見られうつ状態に発展し自宅に引きこもるようになり社会生活に支障をきたすようになります。

パニック障害の治療法

 「薬物療法」「行動(曝露)療法」「認知療法」「鍼灸治療」があります。ここでは薬物療法の説明は省きます。

行動(曝露)療法

 広場恐怖に最も効果のある治療法です。通常は「段階的行動(曝露)療法」と言って広場恐怖の対象をその不安の度合いによって0~100までに段階づけし、容易な段階から挑戦して出来たらその上を目指すというやり方で行動練習を行います。例えば満員電車に乗れない場合。はじめに空いている時間帯に家族と一緒に乗ってみる。次に家族に別の車両に乗ってもらう、その次は一人で一駅だけ乗ってみる。出来たら二駅三駅と距離と時間を延ばしていくといった具合です。無理せず、少しずつ成功体験を積み重ねることによって自信をつけていくのがコツです。

認知療法

 不安の予兆に対していつも最悪の事態を予測してしまうクセ(認知の歪み)に気付き「これはいつもの不安のためだ、時間がたてば自然に治まる。自分らしくない感情だった。」と、言葉にして自分に言い聞かせることによって認知の修正をはかるようにする方法です。これは自分でできる簡単な認知療法です。

鍼灸治療

 東洋医学では体の中に気・血・津液が流れていると考えています。体の中で流れている気・血・津液が不足・停滞・有り余っている状態になると症状が出てくると考えています。この状態を解消させることで症状が治まると考えます。

患者さんに知ってもらいたいこと

 不安障害の多くは、症状が誰でも経験するありふれているもので内科的検査でも異常が見つからないために「気のせい」「気にしすぎ」「性格的なもの」などとみなされ本人も周囲も病気だと考えないことが良くあります。まず不安障害という精神疾患であり、治療可能な病気だということをよく理解してください。本人だけでなく家族など周囲の人々にも正しい理解を持ってもらうことが重要です。

自分でも不安をマネジメントする方法を身に付ける

 不安マネジメントは自分でも可能です。腹式呼吸筋肉の弛緩などによるリラクゼーション法ヨガ自律神経訓練音楽アロマを用いる方法などがあります。

規則正しい生活、適度な運動

 健康の基本ですが、身体の健康だけでなく精神健康にも当てはまります。規則正しい生活の基本は、食事睡眠運動です。規則正しくすることによって体内リズムを整え、自律神経内分泌系を安定させ、免疫力を向上させます。適度な運動は、体力向上だけでなく脳内快感物質(エンドルフィン)の分泌や海馬の神経細胞新生にかかわるBDNF(脳由来栄養因子)の産生を促すことによってうつ病の改善にも役立つとも言われています。

タバコ、アルコール、コーヒー

 タバコやアルコールは一時的に不安を軽減する効果がありますが、長く続けていると耐性や依存を起こしやすく不安障害には良くありません。とりわけタバコは百害あって一利なしと考えてください。アルコールは抗不安薬として処方されるベンゾジアゼピン系誘導体と併用すると副作用が増強し危険です。飲む場合は併用を避けて十分時間間隔を空けて控えめにするようにしてください。コーヒーは過剰摂取で不安を増強させることがあるのでやはり控えめにしましょう。

不安やストレススから逃げない、乗り越える

 不安やストレスは、生活をするうえで避けることは出来ません。不安やストレスのない生活を求めるのではなく、受け止め乗り越えるという意識を持つことが大切です。認知行動療法の行動療法や認知療法が役立ちます。日常生活の中で苦手だと感じている行動を少しずつ勇気を出して挑戦し克服する心がけとマイナス思考に陥りやすい自分の傾向に気付き、プラス思考に変えていくようにしましょう。前向きな生活態度によって「自分もやれば出来る」という感覚が生まれます。

法政大学院教授 久保田幹子先生によるパニック障害の解説をリンクしました

精神科医 樺沢紫苑先生のパニック障害はどんな病気ですか?

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